家を買うか、借りるか。賃貸派?持ち家派? 

「賃貸か、購入か」というのは、住宅関連では語りつくされた感のあるテーマです。

しかし、背景となる社会の状況はその時々で違うし、住まうご家族のご事情も様々ですから、一概に結論が出るものでは決してありません。

今年はたまたまかもしれませんが、住宅購入の問い合わせや相談が、このところ続いています。

それで、家を買うことについて、いろいろ考えてみました。

社会における住宅購入への風向き ※2018.9月現在

  • 低金利… 歴史的な低金利が続いており、住宅ローンにおける金利負担が少ないので、家賃を払うよりも買った方がオトク(!)
  • 消費税… 消費税増税が1年後に迫り、早く家を買わねば損(!) ※経過措置あり
  • 政策 … 住宅ローン減税など、住宅購入を後押しする政策や補助金がたくさんある。
  • 高齢化・人口減少… 高齢化が進み耕作者のいなくなった農地が、あるいは相続でお屋敷が、マンション用地・分譲住宅用地として供給される。
  • 地価下落…ある程度の市街地でも、地価が安くなったために、住宅用地として供給される。

※現在はこのような状況で、資金面で優遇され、商品としての住宅も豊富に供給されてきますから、買いやすい時代ではないでしょうか。

※住宅用地の供給については、地域差があり、希望通りの売り物がないこともあります。

個人における住宅購入の決め手あれこれ

  1. もともと持ち家派… 賃貸は借り住まいであり、家はもちろん所有するもの、という持ち家派です。
  2. そもそも賃貸物件がない… 住みたい場所に住みたい賃貸物件がないこともあります。それなら建てよう、ということですね。
  3. 家賃が高すぎる… 賃貸に住んでいて住居費がすでに高い場合、家を買って住宅ローンを払う方が毎月の支出が少なくなることがあります。先行きへの不安から購入を検討する方も多いでしょう。
  4. 子供がいる… 入学後に転校させたくないので、お子さまの小学校入学を機に住宅購入を決断する方が多いです。学習スペースや個室を確保できるような広さに憧れますね。すでに通っている学校があれば、学校区限定で土地探し・家探しされます。これから入学するならなるべく評判の良い学校区をと探されます。
  5. 通勤・通学… ご家族のお仕事や学校のために住宅購入されることもあります。
  6. ペット… 賃貸は制限されますが、持ち家なら、好きなペットと好きに暮らせます。
  7. アレルギーがある… シックハウス症候群や花粉症など、いくつかの症状は家の機能や設備で緩和が見込めるとされます。
  8. 災害対策… 災害列島に暮らしているのですから、地震に備えて耐震性能を重視する、川のそばや山のすぐそばを離れて安心な場所に引っ越すこともあるかもしれませんね。ただし、自宅がいったん被災地となってしまうと、なかなか売れないということも。
  9. 老朽化… 今お住まいの家屋が老朽化していて、居住に不自由があるなら、建替え・住替えも必要になりますね。
  10. 親と同居する…結婚して子供が生まれたら、どちらかの親と同居または近居を計画することもあるでしょう。共働き夫婦にとっては育児の味方にもなります。また、ずっと別々に暮らしていても、親の介護を機に同居することもあります。
  11. 永住… 故郷あるいは好きな地域に、永住のための家を建てることもありすね。老後のことも考えて、購入を決意されるようです。
  12. 新しい家に住みたい…建材・内装材・換気システムなど住宅機器の性能は年々向上しています。また、好みのデザインやライフスタイルにこだわりがあるという方もいらっしゃいます。
  13. 心理的要因… いろんなモデルハウスを見学しているうちに、家を建てるのがなんとなく既定路線になってしまうことがあります。また、ご本人方の夢や憧れだけでなく、見栄や意地や誘惑や嫉妬などいろんな人間関係が絡むこともあります、これはご用心を。

※このような事柄のいくつかが、住宅購入の決め手になるのではないでしょうか。

賃貸派?購入派?

賃貸派、購入派、という言い方がありますが、同列に比べられるものではありません。

同じ人でもライフステージなど状況でも考え方は変わります。

賃貸派の言葉

  • 転勤や就職で単身なので、賃貸に住む。
  • 勤務先から住居手当が出る。社宅扱い。
  • この街に、永住の予定はない。
  • 家を買うと近所付き合いが面倒そうだ。
  • 隣人や近所が嫌になったら引っ越せる。
  • 仕事場や通学先、家族の状況に合わせて引っ越せる。
  • 古くなったら新しい建物に引っ越せる。
  • 自然災害のリスクを負わずに済む。
  • 家賃は費用と割り切っている。
  • 大きな借金(住宅ローン)を背負いたくない。賃貸なら家計の状況に合わせて住み替えができる。
  • 家を買うと住宅ローンのほかに固定資産税や管理費や修繕費などがかかる。
  • 実は家を買いたいがどうしたらいいか分からない。

購入派の言葉

  • 家賃を払いつづけても資産が残らないので、もったいない。一生家賃を払い続けたくない。
  • 家賃を払う代わりに住宅ローンを払っていけば、やがて自分のもの(資産)になる。※場合によっては負債になることもある。
  • 子供に資産として残すことが出来る。
  • 状況によっては資産価値が上がるかもしれない。※あるいは資産価値は下がることも。
  • 賃貸の家賃には建物の使用料としてのほかに、固定資産税や建物の経年劣化・借入利息・家主の利益なども上乗せされているので、割高だと思う。
  • 個人の信用につながると思うので、持ち家に住みたい。
  • 永住したい。
  • 住みたいと思っていた憧れの場所にマンションが建つ・分譲地が開発されるので買いたい。
  • 実家の土地がある・土地を相続したので、家を建てたい。
  • 自分の思い描く理想の家に、住みたい。
  • 成長していく子供たちに思い出とふるさとを。
  • 老後の生活が不安なので、住むところを確保しておきたい。
  • とりあえず買って住み、住まなくなったら「売る・貸す」すればよい。

自宅を購入し、タイミングをみて住み替えるという選択肢もあります。

  • 自宅を売却することで、売却益を上乗せして買い替えができます。自宅の売却には税の優遇があり、タイミングが良ければ資産を増やすことができるでしょう。
  • 自宅を売却するときに、たとえ売却益が出なくても、買った時の金額くらいで売れると、ただでその期間そこに住めていたということになります。
  • しかし自宅を売却するときに、思ったより高く売れず、売値をローン残債が上回れば、売るに売れないという事態になります。資金計画は念入りに。
  • 転勤のたびに家を購入し、次に転勤になれば賃貸で貸していくという方もおられました。やがて日本各地に貸家を所有しているという状態に。これは誰にでもできることではありませんが、資産形成としてはおもしろいですね。
  • 住まなくなった自宅をどうするか、すこーし先のことも、あらかじめ考えておきたいものです。貸す・売ると決めたときに、すぐ借り手・買い手が見つかるような家だと、安心です。買う時は、なかなか考えられませんけどね。

読んでみた!『金持ち老後、貧乏老後 豊かな老後のために、30代から準備すべき6つのこと』

『金持ち老後、貧乏老後 豊かな老後のために、30代から準備すべき6つのこと』著者 田口智隆 発行 水王舎

2018年8月の発行で、まだ新しい本です。図書館の新刊本コーナーで見つけて、読んでみました。

お金、人間関係、健康、住まい、働き方、ライフワーク について書かれています。

その中でも、『第4話 家なき老人にならない「住まい」の話』 を興味深く読みました。

「持ち家と賃貸 メリット デメリット」から始まり、ポイントは、「持ち家か賃貸かは、損得勘定では大差がない。自分のライフスタイルで決めよう」とのことですから、そうですよねと思いました。

でもそのあと、

「私が賃貸を勧める理由」

「家を買うなら、リタイアした後でよい」

「住まいに関して、必要以上に悩まない」

「それでも家を購入するのなら」

「戸建てとマンションはどちらがいいのか」

と話が続き、その内容はなるほどとわかりやすいものでした。自宅を買うか借りるか、悩まれている方には参考になると思います。

中でも感心したのは、次のくだり。

私が理想とするのは、現役時代は勤務地に近い賃貸物件に住んで、コツコツと資産を形成して、リタイアした後に、終の棲家となるような持ち家を購入するというやり方です。

これは特に都会で働いている人なら、よくあてはまると思います。都心への通勤時間はなるべく短いがいいし、子供たちが独立した後は夫婦だけの小さな住まいで足りるからです。

 

まとめると、賃貸は、状況の変化に対応できるのが利点であるということ。家計の状況・家族の状況・社会の状況…全く先の見通せない時代にあって、フレキシブルに対応できる強みがあります。

人口減少時代においては、空き家は増え続けますので、こだわらなければこの先、住居には困らないはずです。

また、購入の際には、不動産市場における価値を考慮すること、

そして買ったら終わりではなく、メンテナンスや自分の死後のことまで考えておこうということ。

 

それから、こちらもおススメの本、ちきりんさん著書です。

Vol.1 賃貸か購入か キンドル・リノベシリーズ (ちきりんブックス)

とても納得のお話です。

ぜひご参考に。

 

やはり、この「家は買うべきか、借りるべきか」のテーマは奥が深いですね!