本当に売りますか?その不動産。「売る」だけが最善とは限らない、「売らない」方法も検討しよう。

これも黄色の表紙の本。

「不動産を『高く売る』ために知っておきたい大切なこと」 露木博善 著

内容は、不動産仲介業者の、悪徳?な手法について、いろいろ。

そして、その対応策です。

著者は、売主さん(不動産所有者)へ向けたコンサルティングをされているようです。

 

業界の人間としては、書かれているような不動産仲介業者について、「ここまで酷くはないでしょ?」と思うところもありますが、

確かに、業界の通例として思い当たるところも。

また、こちらは「お客様のため」と懸命に動いても、相手となる不動産業者によっては、自分の売上優先でしか動いてくれず、悔しい思いをしたことも、実際にあります。

(われら不動産業者の名誉のために付け加えると、もちろんいい業者さんもいます!  自社の売上のチャンスを逃すことになっても、こちらの顧客のために動いてくれます! きちんと情報を伝えてくれる、とかね。見習うべき。)

 

この本の中で、内容にいくつか正確ではない箇所もあるようですが、共感したのは、

「不動産売買において、一番大きな利益を受けるのは、不動産の所有者であるべき」というところです。

そのために、不動産業者は専門知識と良識をもって助言・アドバイスをする、という。

もちろん、まさにそれが、我らが社会的使命。

 

そしてもう一つ、共感したのは、

「売る」だけが最善とは限らない、「売らない」方法も検討しよう、というところ。

つまり、「売ってしまうと、二度と取り戻すことは困難である」ということです。

 

ところで、所有する不動産をどうしようかと相談を受けて、売る・貸す・他有効活用する、などいくつかの選択肢を提示する際、

この本に出てくる悪徳業者だったら、迷わず「売る」一択で勧めるのではないでしょうか。

それは、仲介手数料の仕組みを考えるとスッキリします。

この本にはそこまで書かれていませんでしたが、

例えば、

売却金額 3000万円 の住宅だと、

3000万×3%+6万→96万円 両手取引なら、さらに倍額の192万円が、得られる仲介手数料の上限となります。

同じ物件が賃貸に出たとして、相場は地域によっていろいろでしょうが、仮に 賃料15万円 くらいだとして、

賃貸ですから、仲介手数料は賃料の1か月分すなわち、15万円が上限です。

つまり、一軒の住宅からあがる売上を考えると、営業マンの立場としては売買の両手取引が一番オイシイ、となるわけです。

びっくりですね、こんなに違うんですから。仲介手数料。

(個人的には、賃貸借契約の仲介手数料はもっと上限上げていいのではと思ってますけど。)

売買の両手取引については、こちらの記事をご覧ください。

 

で、今日のテーマは、「本当に売りますか?その不動産」

もちろん、建物が使えないような状態なら、解体して更地で売るのが一番です。

更地でも、バイパス沿いなど、立地によっては貸地もいけます。

建物の補修費用が出せる場合で、賃借人が見つかりそうな場所なら、建物を貸すのもいいですね。

相続など、今後その不動産を使う予定がなく、また現金化を急がれるなら、現況渡しで売却がいいですね。

 

「売るか?貸すか?どちらが得か。」

いろんな状況・場合がありますから、一概には言えませんが、もし、「売ってもいい・貸してもいい」という状況なら、私はまず「貸す」をお勧めします。

その場合、所有者の方の立場で考えたら、

先ほどの住宅の例で、

売買金額が3000万円だとして、売れば即、3000万円まとまって入ります。

貸すと、賃料毎月15万円として、一年で15×12か月→180万円が毎年入ります。

10年貸せば、1800万円です。その後3000万円で売れば、

合計としては貸した方が、断然お得と分かります。

(計算上、税金や金利、市場の変動、敷金礼金や諸経費は考慮してません)

できれば、不動産の収支はなるべく細かく計算しましょう。

 

ご所有の不動産の利用活用について、一緒に考えてみませんか。

もみじの新緑