仲介手数料無料! ? 不動産仲介業者の収入源である仲介手数料の仕組みと不思議。

 「仲介手数料無料!キャンペーン」のからくり?

住宅という大きな買い物をするお客様、賃貸アパートを探して引越し予定のお客様にも、「仲介手数料無料」は魅力ですよね。

でも、仲介業者が仲介手数料をお客様からもらわなかったら、どうするの?ただで働くの?と不思議になりませんか。

実は、別のルートから収益があがるようになっています。大きく分けて、次の二つ。

買主様・借主様だけではなく、売主様・貸主様からも報酬を頂ける物件である。

例えば、売主が分譲業者さんなどの場合があります。売主もプロの不動産業者ということで仲介業者の負担が少なく、かつ売主からも報酬が出るのであれば買主さんには「仲介手数料無料」で、ということです。

また、賃貸ですと、新築アパートなど大量に供給された時や、新築に限らず空室が多いエリアの場合も、早く満室にするために家主側から報酬がでることがあります。

契約時の仲介手数料だけでなく、別の名目で収益をあげている。

これは特に賃貸物件の場合。

自社管理物件だと、入居後の家賃から管理料が発生するので、とにかく満室に向けて営業する。あるいは契約に伴い、鍵の交換代金や保証会社、などから少しずつ手数料をいただく。などなど。

 

都会の仲介業者は、片手で充分な報酬が得られる!

下記に詳述していますが、売買金額が400万円を超えると、それが500万円の物件でも5000万円の物件でも、仲介手数料の料率は変わりません。

つまり、500万円だと 500万×3%+6万で、21万円×1.08

5000万円の物件だと 5000万×3%+6万で、156万円×1.08

となります。

物件価額でこんなに報酬が違いますが、実際の業務は物件調査から契約交渉から重要事項説明・契約決済と、不動産売買契約の仲介業務としては同じように手間がかかります。

地方には数百万円の不動産も珍しくありませんが、簡単に売買できるかというと、大事な資産には変わりませんから、仲介業務としてきちんと手続きが必要です。それには上限の報酬額を、しかもなるべく売主様買主様両方からいただかなくては、仕事になっていきません。

一方、都会の不動産は売買代金が大きく、個人の住宅で数千万から1億円超ということもあるでしょう。

すると売主様からの仲介手数料だけでも十分な報酬になりうるのです。

つまり、買主様からの仲介手数料は無料!!とうたえます。

仲介手数料の仕組みは、意外と複雑。

「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」つまり、いわゆる仲介手数料については、国土交通省告示に定められています、つまり国が決めている。

国土交通省のホームページには、次のようにあります。

 「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」については、以下のとおりとなります。
 国土交通省では、「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」(昭和45年建設省告示第1552号)を定め、宅建業者が宅地建物の売買・交換・貸借の代理・媒介を行って受けることができる報酬の上限額を定めています。
平成29年12月8日改正(平成30年1月1日施行)

「報酬の上限額」…ここで、上限額 に注目。決められているのは、上限であるということ。だから上限ちょうどでもいいし、それ以下でもいいし、無料でも、法規上は問題ないのです。

ちなみに、仲介手数料は成功報酬ですので、業者にとってはいくら営業しても、難しい交渉をしたりいろんな情報集めて頑張っても、成約にならなければ、仲介手数料をいただくことはできません。これはシビアなところです。そして、金額の大きな物件もそうでない物件も、一件一件の契約業務にかかる労力や手間は、実はほとんど変わりません。

さて、「媒介手数料の限度額」具体的には次の通りです。売買・交換の媒介のとき

  • 200万円以下… 5.4%以内
  • 200万円を超え400万円までの部分について… 4.32%以内
  • 400万円を超える部分について… 3.24%以内

※取引額が400万円を超える場合の簡易計算方法… (取引額×3%+6万円)×1.08

 

それにしても、なんで200万とか400万とかなんだろう、中途半端な感じがして、ずっと不思議に思っていました。ほとんどの不動産取引では、簡易計算方法の算式しか使わないのではないでしょうか。

今回調べて驚きましたが、この報酬額は、昭和45年に定められたということ。どうりでこんな半端な金額なのだと分かった気がしました。

 

それから、平成30年1月1日付で、この告示が改正されています。これはとても時代にあったタイムリーな内容だなあと思いました。これもまた後日記述します。